何かがあってから急に取り繕おうとしても、実際はできないという話です。
先日、富山市の学校と保育所において、約 1,000人規模の大きな集団食中毒が発生しました。
こういうことは滅多に起こることではありませんが、発生すると、当然ですが原因調査や再発
防止の為に各方面でいろいろな動きが出てきます。
例えば、ユーザーさん側で、「これを機会に、食品の納入業者を訪問して、衛生環境を調査し
よう」ということになる事も考えられます。普段からこのような事をほとんど気にしていない
業者にとっては、訪問されることが分かってから慌てることとなり、倉庫担当者に対し「すぐ
にキレイにせよ!」という粗い指示を送り、何とか取り繕う為に現場が慌てて倉庫を掃除する
ということになります。
しかし、そんなことをしても表面的な所くらいしか手を付けられず、訪問された方々に突っ込
んだ質問をされたり、状況をよく知らない別の部署の社員などが普段通りの良くない場面を
見せてしまったりといったことで、実態がバレてしまうのがオチです。
現在、当社においては、会社の施設や倉庫を衛生的な状態に保つということに対して、清掃
担当者だけでなく、使用する全ての社員に「キレイに使う」という躾(しつけ)を大事にして
います。
これは当社の「トイレをキレイに保つ」という事を例にすると分かりやすいので説明します。
20年以上も前から、当社ではトイレのキレイさを売り物にしていました。しかしながら、実際に
キレイにすることを強く意識していたのは掃除をしている側の内勤女性社員だけでした。
(男性社員にもいくらかは居ましたが・・・・)
つまりは、社員の中で「使う(汚す)側」と「キレイにする側」に分かれていたということ
です。これでは、たとえ1時間に1回のペースで掃除をしていても、タイミングが悪いと汚い
場面を見せてしまい、「常にキレイな状態」にはなりませんでした。
そういった状況を経て、ある段階から「使うだけの社員」という概念をなくし、「全員がキレ
イにする社員」という捉え方に変わるようになりました。トイレを使ったらキレイにするという
やり方を徹底して躾けることによって、本当の意味での「常にきれいな状態」に近づきつつある
と思います。
当社では現在、いろいろな業務に対しても同じ考え方で社員教育を行い、以前に増して躾(し
つけ)を重点的に行うようになっています。問題が起きないように管理する側だけが大変な思い
をするのではなく、一人一人が次の人のことを考えたやり方を身に付けられるよう指導していく
ことで、管理する側がラクになるだけでなく、社員一人一人のレベルアップにもつながり、また
会社としての評価アップにもつながっていると思います。